2012年3月19日月曜日

【レポート】Hope Moon Academy Orchestraの第4楽章

望月ゼミOB・OGによる学びの場、HopeMoonAcademy-Orchestraの第4楽章が、3月11日に開催されました。
場所はお馴染み、東京阿佐ヶ谷 ヒメモス。


今回のテーマは「エンターテイメント」、望月先生の前奏曲からオーケストラは始まります。配られたレジュメの1章・2章はそれぞれ、「時代はエンターテイメント…芸人化社会の悲劇」、「エンターティンの本質的な意味とは」。
現在の世の中の多くはエンターテイメント、お店にしても何にしてもです。そんな中、日本人の多くはエンターテイメントの本質を取違えていると警鐘を鳴らします。やれテレビを点けると、お笑い芸人が飛んだり跳ねたりしている。個人的な感想ながら、見ているだけで頭が痛くなると触れ、こうしたお笑いやバラエティはエンターテイメントの本質ではないと述べられました。
望月先生は真のエンターテイナーとしてチャップリンを挙げられました。彼の核心はペーソスであり、笑いは飽くまでもテーマに過ぎない。ペーソスは、哀しみ(「悲」ではない)であり、心の奥底に持つ哀しみに触れることがエンターテイナーの本質だと続けました。また、エンターテイメントの語源とは、
「エンターenter:(内に)入れる(先生は引っ張るとも)」
「テイン tain:留める、保つ(ラテン語のtenere から)」
から成るもので、相手の哀しみに触れ、それを自らの内に抱きとめて癒し、氷解することもまた、エンターテイナーだと述べられました。


望月先生がシアトルを訪れた際、シアトルセンターで出会ったキュレーターとの様々な会話の中、新しいエンターテインメントの視点に出会ったと言います。それは、カルチュアルエンターテインメントという言葉。アトラクションやイベントに依らない、地域社会での文化や持ち色が暖かなもてなしであり、それこそが最高のエンターテインメントだ、という考え方です。

3.11以降、カタカナで書かれるようになってしまったフクシマの世界的イメージはディストピア(⇔ユートピア)だと言います。外国を歩くたびに、「フクシマはどうなの?」と聞かれるそうです。この質問に対する答えとして毎回、「福島の意味を知っているか?」と聞き返すそうです。

―― Happy Island 福島。

失われた福の島を今は取り戻さねばならない、そして何よりも福島の人の心にはその思いがあるのだと、と望月先生は述べられました。

日本独自の文化が世界で評価を得ていることから、日本独自の洗練された文化を「クール・ジャパン」と称し、また国としても掲げています。このクールジャパンの真髄とは何であるのか、それは日本人の持つ民族性だと望月先生は述べます。震災により広く遍く知れ渡った日本の民族性は、強かでとても暖かいものでした。本当はクールジャパンではなく、ホットジャパンと言いたい。そしてそれこそが日本が持ち合わせ、誰もが憧れる最高の文化であると先生は仰いました。

やれ観光だ、イベントだと観光庁が騒ぎたてた所でダメ。日本人としての本心、相手を取り込み癒す強かで暖かい民族性、誰もが日本に憧れる。

現代エンターテイナー論の鍵は、日本人の心に在り、です。


さて、前奏曲からメインのゲストトークへと渡されます。
今回のゲストスピーカーはお二人、坂西元さんと安永和史さん。

坂西さんは、多摩大学大学院の24期生。大学時代はアメリカ中南米縦断探検を行うなどし、その後大学院で望月先生に出会う。現在は未来まちづくりデザイナーとして、地域における次世代教育の仕組みづくりを行なっています。

安永さんは、司会である平野さんと高校の同級生という仲。大学時代は自主制作映画やドキュメンタリーを制作、コンテンストに出品するも箸にも棒にも掛からなかったため、サラリーマンへ。就職直後は九州支店に内示を受け、3年前東京に異動。社会人になっても実家のある中央線は離れられぬまま、三十路へ。因みにバツイチ。

今回坂西さんは、大学院での教え?からレジュメを用意されていました。
まずはじめに「Noと言わない日本」、と書かれています。坂西さんは日本ほど禁止の多い国は他に無いと言います。あちこち何はしちゃだめ、アレはしちゃだめ…。こうした多くの禁止が人間をネガティブにしている、楽しい人生を送るためのルールはYesだと坂西さんは言います。
次に「The Fun Theory 楽しい理論」を紹介しました。これは嫌なことは楽しく、という発想から始まり、例えば駅を歩く人々にエスカレータではなく階段を使わせるにはどうするか。その答えは、階段をピアノにしてしまうことでした。その他にも、ゴミを捨てることを楽しくするにはどうするか?世界一深いゴミ箱にして、捨てる事を不思議な体験に変えてしまうことでした。ゴミを捨てるとヒューゥと落ちていく、面白くなって子ども達はその辺りに落ちているゴミを拾っては捨てる。楽しい!には人間の行動を変えるパワーがあるのだと、坂西さんは主張します。(参考:http://www.thefuntheory.com/)

安永さんは、見方を変えることで価値の変わるものがある、というお話をされました。
例えば、古民家を売りたい。言ってしまえば築年経ったボロ家だが、ちょっとリフォームしてアーティストが住まう家!あなたもいかが?といった風に、売り込む。松戸市をMAD Cityと名づけてユニークなモノがたくさんある街を売り文句にする、などの例も紹介されました。(参考:http://madcity.jp/)

自分が楽しくあることが、人を楽しくさせるというお話にも。
坂西さんがかつて訪れた、米国西海岸ではヒッピーがエリートだったと言います。彼らは何かにしがみつく事なく生き、そんな不安にとらわれない生き方が人生を楽しくする。因みに安永さんが離れられないという、愛してやまない中央線沿いは日本におけるヒッピー発祥の地だとか。話の広がりが止まらないトークセッションは、「ヒッピーでハッピー、幸せになりたい人は中央線に乗ろう!」という所にオチ、お後よろしく幕を閉じました。


その後の歓談は相も変わらぬ盛り上がり、海外経験も豊富なゲストスピーカーのお二方と参加者も入り混じり止まらぬ会話、賑やかながら緩やかなひとときが流れました。

4回に渡り続いたHope Moon Academy-Orchestraは、今回がヒメモスにて開催される最終回で一旦の区切りとなります。

4度の内3回、22期木下がレポートを書いて参りましたがお気づきになられたでしょうか?
各レポート1回目はゲストトークを中心に、2回目は望月先生のお話を中心にまとめ、それぞれもう一方は簡単に収めてきました。全ては書きませんよー、気になる人は来てくださいー、という意地悪な想いを込めて…です。
そもそもレポートの字数があまり多くても読みにくいだろうから、字数との兼ね合いもあって順にそれぞれフォーカスしようと思っていた事も嘘ではありませんが。(因みに3回目は22期品川が担当しましたが、その日は望月先生が欠席されたとのことで、偶然にもゲストトークが中心にまとめられました)
区切りとなる4回目はどちらも均等にまとめましたが、いずれにせよとても全てを書ききれません。今回のレポートもここまでに2800文字程ありますが、3分の1にも過ぎないでしょう。

次回HMA-Orchestraは2012年6月に行われる、HMA総会と併せての開催です。
ちょっと大人で知的な即興曲が、今までにない大きな舞台にて奏でられます。
ということでラストチャンス!と思いぜひ次回の総会でお会い出来ればと思います。

(Writer:Hiroshi Kinoshita)

0 件のコメント:

コメントを投稿